「鼻こすり」に「舌出し」も!世界の驚くべき挨拶文化

挨拶は、単なる社交辞令ではありません。それはその土地の歴史、信仰、そして人々の関係性を映し出す鏡のようなものです。私たちが普段交わす言葉や握手とは全く異なる、世界各地のユニークな挨拶文化を覗いてみましょう。

ニュージーランドの先住民族マオリ族には、「ホンギ」と呼ばれる伝統的な挨拶があります。これは、互いの鼻と鼻を軽く合わせ、息を交換するというもの。単なる接触ではなく、相手と自分の魂が混ざり合い、生命の息吹を共有する神聖な行為と考えられています。この一瞬に、心の壁が取り払われ、深い絆が生まれるのです。

チベットでは、初対面の人に会った際に、軽く舌を出すという仕草を見かけることがあります。これは、中世の9世紀に暴虐な王がいたことに由来すると言われています。その王は舌が黒かったため、人々は自分がその王の生まれ変わりではないことを示すために舌を出したのだとか。今では、相手への敬意や悪意がないことを示す穏やかなサインとして用いられています。

東アフリカの遊牧民マサイ族の中には、やや衝撃的な挨拶もあります。彼らは挨拶の際に、手のひらに唾を吐きかけてから握手をしたり、新生児や花嫁に祝福の意味を込めて唾をかけたりすることがあります。これは唾液に神聖な力があると信じられているためで、相手への尊敬や幸運を願う、彼らにとって最も敬意のこもった表現なのです。

これらの挨拶は、私たち日本人には奇妙に映るかもしれません。しかし、それぞれに深い意味と背景があり、その文化圏で生きる人々にとって、ごく自然で大切なコミュニケーションの形です。言葉を交わすだけではない、身体を使った多様な挨拶は、異文化理解の入り口として、私たちに多くの「へぇ!」を提供してくれます。