鉄道の線路幅、古代ローマに起源?
私たちの生活に深く根ざしている鉄道。車両の進化や路線の拡張はよく話題になりますが、実はその足元、つまり線路の幅がなぜ特定の寸法に統一されているのか、あまり知られていません。世界中で最も一般的な「標準軌」と呼ばれる線路幅は、1435mm。この数字には、意外な歴史的背景が隠されています。
この1435mmという数値は、近代鉄道発祥の地とされるイギリスで定められました。しかし、当時の鉄道技術者が一から計算して導き出したわけではありません。むしろ、それ以前から使われていた「馬車」や「荷馬車」の車輪幅に由来しているのです。その馬車が走る道の轍(わだち)が、後の鉄道の基礎となりました。
さらに遡ると、この馬車の車輪幅のルーツは、驚くべきことに古代ローマ帝国の戦車にあると言われています。ローマ帝国が築いた道に刻まれた車輪の跡は、当時の技術基準となり、それが数世紀を経てイギリスの馬車に引き継がれ、最終的に鉄道の標準軌へと結びついたという説が有力です。
つまり、私たちが日常的に利用する新幹線から世界の貨物列車まで、多くの鉄道の線路幅は、遠く2000年前のローマの戦車の幅が基になっているかもしれないのです。単なる数字の羅列に見える軌間一つにも、壮大な歴史のロマンが秘められています。
