カモノハシ、進化の異端児が持つ七不思議
オーストラリアの象徴ともいえるカモノハシは、その外見と生態から「生きた化石」「進化の異端児」と称されることがあります。鳥のようなくちばしにビーバーのような尻尾、カワウソのような水かきを持つ彼らは、哺乳類でありながら卵を産むという、地球上の生物の中でも極めて珍しい存在です。その生態は、私たち人類の常識を心地よく裏切り続けています。
カモノハシの最も驚くべき特徴の一つは、オスの後ろ足にある蹴爪に毒があることです。この毒は、小型犬を殺すほどの威力を持つこともあり、人間が刺されると激しい痛みに襲われます。哺乳類で毒を持つ生物は非常に稀であり、カモノハシが持つこの防御機構は、彼らが独自の進化の道を歩んできた証拠と言えるでしょう。
さらに、彼らのユニークなくちばしは単なる飾りではありません。水中で獲物を探す際に、獲物が発する微弱な電気信号を感知する「電気受容器」としての役割を果たします。目は閉じた状態で水底をまさぐり、この特殊な能力で獲物の位置を特定するのです。これはサメなどの一部の魚類に見られる能力で、哺乳類がこれを持つのはカモノハシだけです。
そして、哺乳類であるにもかかわらず、乳首がありません。メスのカモノハシは、お腹の皮膚からミルクを分泌し、それを仔が舐めて育ちます。発見当初、この奇妙な生物の標本を見たヨーロッパの科学者たちは、誰かが他の動物のパーツを縫い合わせて作った偽物だと疑ったほどです。カモノハシの存在は、生物学の常識を覆し、今もなお多くの謎を秘めています。
